紀伊半島は山が高く谷は深く地形も複雑で、覚えにくい。これを分水界の視点で見れば理解しやすくなるのではないかと
考えたものの、そうそう単純ではなかった。
奈良県は大和川水系、淀川水系、紀の川水系および熊野川水系に大別できる。県の行政界の既成概念とは大きく異なるから、ややこしく感じるのかもしれない。大和地域、吉野地域、南部の山間部でそれぞれ文化や気質も異なるのだろうと思う。
和歌山県の場合、有田川町は有田川の、日高川町は日高川の、古座川町は古座川の、南部町と南部川村が合併して誕生したみなべ町は南部川の、白浜町と合併して消えた日置川町は日置川の、古座川町は古座川の流域とおおむね合致する。おおむね、だが。
揃いもそろって河川を命名規則としてきたのは偶然ではないのだろう。
いずれの河川も上中流部は急流で、穿入蛇行や環流丘陵が見られるし、滝も多い印象。
熊野川 (新宮川) の流域は広い。核心部の大峰山脈は支川の十津川と北山川によって峻険にされていると理解しても構わないだろうか? 今も急速に下刻しているのではないか? 参考までに2011 (平成23) 年9月台風12号で発生した大規模崩壊地5か所を CircleMarker で示した。
分水界を越える峠道も険しい (だからトンネルだらけ)。だが参詣の歴史があるためだろう、尾根筋の小径に現役のものが多いのも紀伊の特徴だろうか。
地質図で見れば、半島の北部は中央構造線に並列して東西方向の走向が多いけれど、南部は熊野酸性火成岩や砂岩泥岩がめだつ。白浜や勝浦の温泉は比較的高温だが、田辺市本宮町の湯の峰温泉はもっと高温 (産総研GRES-DB による)。
尾鷲は国内有数の多雨地帯だが、和歌山市はその半分以下で少雨の部類に入る。だがそれは平年値のハナシであって、いったん豪雨に襲われると和歌山側でも大災害は起こる。
※気象庁による現在の「平年値」とは1991〜2020の30年間の観測値に拠っている。だが近年の気象は極端に振れる傾向が強いように思われるので「ソレが通常」とは思わないほうが良いのかもしれない。ここ2か月ほどの少雨も過去の経験則とは程遠いように思う。
これまで個別に
書いてきたが、大局的に俯瞰するとまた印象も異なる。
分水界のトレースは「日本の主要な分水嶺、主要河川の分水界を描くマップ」にも加えた。
「降水量の平年値について」「気温の平年値について」「温泉マップ」も参照を。
余談。トシをとると口数は減る。余計なことを言わなくなるというのもあるし、黙っているほうがいい局面も多々ある。
荀子の名言に「黙するを知るは言うを知るがごとし」がある。沈黙の意味を知ることは発言の意味を知ること (忖度とはちがう)。
私は多弁なほうではないが、よけいなことを言う悪癖はあり、よけいなことを書く悪癖もある (これは当ブログを長く読んで下さっている方々に周知のことだが)。
生成AI の弱点は、黙するを知らないということだろうか。時代の流れもまた「沈黙のいさぎよさ」を善しとしていないし、くちを利くのが上手い人物が「お利口さん」よろしくメディアでデカい顔をしている。