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馬淵川水系の分水界を地図に描く

公開日: 2024年4月5日

青森県と岩手県にまたがる一級水系、馬淵川の分水界をわかりやすくトレース

マップ読図

馬淵川 (まべちがわ) の水系、国土交通省 によると幹川の流路延長は 142 km、流域面積は約 2,050 km²。上流部の葛巻町に小字馬淵がふたつある。

国交省では青岩橋を境に上流部と中流部に区分しており、上流部は河床勾配が急。櫛引橋から河口までが下流部。
二戸市から三戸町にかけては還流丘陵と河成段丘が発達している。
南隣は北上川の、西隣は米代川の流域

地震本部 によれば

折爪断層は、青森県五戸町から岩手県葛巻町北部に至る断層で、北部は辰ノ口撓曲からなります。長さは最大 47 km 程度である可能性があります。北北西-南南東方向に延びており、断層の西側が相対的に隆起する逆断層と推定されています

その付加体の地層境界と差別侵食によるリニアメントが色別標高図と傾斜量図で明確。

一戸町の東端、就志森の北と北西には地すべりか山体崩壊か、マスムーブメントの跡らしき地形がある。
七時雨山はもともとカルデラ火山で山頂部は溶岩ドームらしい。開析が進んで分かりづらい。
左支の安比川は土砂の供給量が多いのだろう、安比防災ダムは堆砂が進んでそうだ。

旧東北本線 (現いわて銀河鉄道) 沼宮内~小繋の間は 25 パーミルの急勾配で、蒸気機関車の三重連で有名だったところ (参考: 鹿島建設)。

なお八戸の年間降水量平年値は 1,045.1 mm、気温の平年値は 10.5 °C (1月はマイナス 0.7 °C、8月は 22.6 °C) とのことで比較的少雨。
八戸特別地域気象観測所は馬淵川河口の近く、海食崖らしき高台の好立地。

旧河道と付け替え

青森河川国道事務所 によると

馬淵川は、その昔、河口近くで大きく湾曲し、新井田川と河口で合流し、八戸市の中枢地区に氾濫をもたらし、開発を阻害していました。このため、馬淵川を放水路により直接太平洋に注がせ、新井田川と分離する事により、現在の河口の姿や産業集積地が形成され、現在では、外貿コンテナ航路を開設し、国際化に向けた取り組みも行われています

昭和15年に放水路の開削に着手、昭和30年に全面完成したとのこと。それでも昭和や平成の時代たびたび下流域で洪水被害があった模様。
陸地測量部、大正3年測図同14年鉄道補入5万図「鮫」から一部、Stanford Digital Repository

5万図、鮫から一部

港湾が街を発展させたという典型的な例だろうか。
新井田川の流域面積は 585.4 km²、昔の馬淵川流域はもっと広大だったということになるか、河川法の上では。

国土地理院の 地図・空中写真閲覧サービス から USA R272 - 98 (1948年4月29日) をトリミング

古い蛇行の跡もクッキリ。
また八戸港の潮流について 八戸市 によると

南方より北上する黒潮、千島列島に沿って南下する親潮、津軽海峡を経てくる日本海暖流の3海流が交錯する。沿岸付近は、満潮時には概ね北東より南西に流れ、干潮時には南東より北西に流れる

以下も参照を

なお八戸石灰鉱山の露天堀りは海抜およそマイナス 170 m とのこと。