Japonyol » ブログ » 那珂川水系の分水界を地図にえがく

那珂川水系の分水界を地図にえがく

公開日: 2023年12月28日

那賀川に続いて那珂川。福岡県の那珂川ではない。

マップ概観

福島県、栃木県と茨城県を流れる那珂川とその水系、国土交通省 によると幹川の流路延長は 150 km、流域面積は約 3,270 km² とのこと。
利根川の隣で混同しやすいかもしれない。私自身もいまひとつ境界の認識が明確でなかった。阿武隈川や久慈川の流域とも隣接

この流域に限らず、造成されたゴルフ場や宅地などが分水界を不明瞭にしているところは少なくない。
国道461号、栃木と茨城の県境に「境明神峠」がある。低い分水界だが井出孫六が日本百名峠に選んでいる。
国道294号、栃木と福島の県境に「境の明神」がある。双方に明神の小字があり、それぞれ明神さまが祀られている。しかしよく読めば、この県境は分水界ではない。
その明神さま近く、東北本線の黒田原駅から白坂駅の間は阿武隈川水系との分水界を越えるところ。1891 (明治24) 年に開業したものの、勾配が蒸気機関車に負荷をかけたらしく、1920 (大正9) 年に線路が付け替えられたそうだ。低い分水界といえど局所的にパーミルが大きいと事態は容易でなかったということか。

この流域には三斗蒔、四斗蒔や五斗蒔に六斗地といった地名がある。十升で一斗。種を蒔くに適した広い土地といったところだろうか?
n 斗蒔の地名は阿武隈川の流域にも多いが、地域によって地名の命名規則みたいなものはあると思う。

那須野原の複合扇状地は扇頂が海抜 500 m あまり、扇端がおよそ 180 m ほど、右支の蛇尾川 (さびがわ) は扇頂部で伏没してほとんど流水がなく、その段丘は Filltop Terrace と Fillstrath Terrace に区別されるみたい。
塩原カルデラにある高原山の火山群は大田原火砕流の給源という説。熔岩円頂丘である富士山の南側に列をなす断層地形が見える。

那珂川は戦後10回にわたって氾濫したとのこと。2019年台風19号による流域の被害は記憶に新しい。
自然災害伝承碑は2023年12月現在。今後も追加されるので「ないから安全」という意味ではない。ブランクの市町村は国土地理院へまだ申請していないだけ。

約90年前の源流付近

明治42年測図昭和8年要部修正の参謀本部5万図、那須嶽から一部、Stanford Digital Repository

5万図、那須嶽から一部

那須岳は 気象庁の常時観測火山 のひとつ、有史以降の噴火はすべて爆発型で泥流を生じやすいとある。
現在の地形図には記載されていない消えた鉱泉記号がちらほら。三斗小屋温泉は今もなお飛び地なのだな。
那須鑛山事務所の注記がある。「那須鉱山の硫気孔」(早瀬喜太郎、日本鉱業会誌70巻791号、昭和29年5月、PDF) によれば、茶臼岳山頂の北西、標高 1,750 m 付近を大穴沢、西側の今なお噴気記号があるあたりを無限谷と呼んでいたようだ。今は無間地獄と呼称されているが、1963 (昭和38) 年に小爆発したらしい。昭和40年代まで硫黄を採掘していたようだ。
標高約 1,230 m の沼原湿原はいま南側が沼ッ原調整池、発電用で1973年竣工みたい。現代なら環境アセスメントで一発アウトだろうと思うが、半世紀前は余裕でセーフだったのだろう。

皇室の御用邸がある町や御用達の町というのは腰が引ける。私の場合、やんごとなき葉山や軽井沢には近寄らない (ブランドイメージを笠に着た住民が多い印象)。那須には行ったことがないが、地図をある程度読めたら過去の経験則も合わせ風景も地形もおよその想像はつく (しかしこれはダメな考え方で、可能ならば実際に現地を目で見るに越したことはないと思う。百聞は一見に如かずとは至言)

以下も参照を

余談。
昨年指摘した とおり公認野球規則が改正されるので、狭いと言われる横浜スタジアムは本塁を数メートル下げてフェアフィールドを広くしてほしい。そうでもしないと優勝できる気がしない (しかしピッチャーが足りない)
ハマスタはもともと半径 70 m ほどの正円の中に可動式の内野席を設け他の競技にも長方形で対応できるよう造られているが

現在はそういう運用をしていない。エキサイティングシートとポール際200~300の座席を撤去して入場料収入が少し下がっても、選手やプレーが近くなって顧客満足度は上がるのではなかろうかなぁ。