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鉄道や道路のカーブの半径など

公開: 2023年06月15日, 更新: 2023年06月17日 by ちずぞう

渋谷と中央林間を結ぶ東急田園都市線は約 31.4 km の路線。その中でもっとも急なカーブが次の写真の場所 (町田市)

東急田園都市線のカーブ

ありていに言えば速度を出せない区間。

カーブの半径を測る

上の写真の線路を地図で計測すると半径約 300 m の円弧であることが分かる

さきに私は 伊豆の河津ループ の半径 40 m について「外径でも内径でもなくセンターラインを指しているようだ」と書いたが、これも同様に測った。「半径円消去」を押して し、さらに「半径円描画」を押しマーカーをドラッグしてみてください。
なおマップは 4年前に書いたコード の使いまわし。

たとえば高速道路を運転していて「下り坂 5.0 %」とか「R=400」などといったオレンジ色の標識を目にすることがある。しかし、これらの数値を皮膚感覚で認識できるドライバーがどれほどいるのか疑わしい。私も分からん。

東名高速 (1969年全線開通) はカーブの最小半径が 300 m、最大勾配が 5 %という設計になっている。いっぽうで新東名高速はカーブの最小半径が 3,000 m、最大勾配が 2 %となっている。安全を確保しつつ速さも担保して経済の要請に応える線形を実現しているのだから、すごいことだ (燃費も良いはずだ)。
次の写真は新東名高速道路の上り線、富士市神谷付近。きわめて快適に運転できる。上は橋梁の連続

富士市神谷

車線の幅は、東名と名神は 3.6 m、新東名は 3.75 m の設計になっている。3.25 m の首都高速が窮屈で怖いのは道理だ。
逆に言えば古い道路は安全性も経済効率も劣るのだから、最新の道路構造令にのっとった改良による新陳代謝で廃道となるのは必然。

東名高速より古い名神高速 (1965年全線開通) には関ケ原に R=260 があった (今須カーブ、70年代画像で見られる) が、事故が多発したことで改良され、現在は下り線が R=915、上り線が R=900 になっているとのこと。
また名阪国道の奈良市オメガのところに勾配 6.0 %で R=150 という箇所が今なおあるらしい。1965年開通の古い道路らしく私は走ったことがないが、危険なのだろう。

また歴史の古い鉄道は円弧と直線のシンプルな組み合わせが多い。上越線の湯檜曽や北陸線の衣掛山のループは R=400 ですね。明治時代に敷設された狩勝峠の根室線旧線は、半径が小さく (最小R=180) 勾配は大きく (25パーミル) 切土と盛土で反向曲線が連続していたことが地図でうかがえる。事故が多発したのも道理だ。
次は大正9年測図昭和6年鉄道補入参謀本部5万図 新得 Stanford Digital Repository から一部。この線路は、勾配が緩和された石勝線が1966 (昭和41) 年に開通し共用することになって廃止

5万図 新得から

線路のカント (Cant) は目視で認識することができる場合もあるが、スラック (Slack) となると無理。

参考までに、世界陸連 (IAAF) では陸上競技トラックの曲走路は半径 36.5 m を基準寸法としているそうだ。校庭でもカーブを走るのはむずかしいですよねぇ?

10代のころ、2ストロークでオイルと排気ガスを噴出しまくるヤマハのRZというヤンチャなバイクに乗っていて、カーブで外にふくらんで「ヒヤリハット」事例を何度も経験した。昭和の時代に比べ交通事故が激減したのは、自動車の安全性能の向上だけでなく道路構造の進化も大きく寄与しているはず。

サグと余談

地図では認識しにくい垂直方向、縦断曲線の凹んだ底部をサグ (Sag) というが、これは渋滞を起こすボトルネックとして知られる。代表的な例として、東名高速の渋滞名所である大和トンネルの前後には「まだまだ上り坂」という看板がある。これは暗に「スピード落とすんじゃねぇ!アクセルを (法定速度内で) 踏め!」と言っているようなもので、その表現は良いと思う。現在は付加車線が増えたが勾配は同じなので、意識しないと速度は落ち渋滞の一因になってしまう。

私は運転が上手くない (むしろ下手なのだ) けれど、標識や看板が視界に入れば「あ~そぅゆぅことね」と空気は読む。視界に入れば。
大型車はインパネに勾配計なりバランサが装備されてよさそうな気もする。装備されてるのかな?

交通インフラの進化は良いことだが、同時に、電気自動車が主流になっていこうとする現状を私は苦々しく思っている。ガソリンと同じくエネルギーであることに違いはなかろうに「炭素を出さなければ善」といった雰囲気がある。電気だって潤沢じゃないでしょ。
善かれとやることが実は善いことでもない、ということが世の中には実に多い。

五十路すぎ 下り勾配 事故多発

人生の悲哀に基づくオヤジギャグ川柳を詠んで痴性を発揮してみた (標語みたいだから0点)

日経から

日経から
日経新聞が2月に実施した読者アンケートでは、子供がいない人のうち3割程度の人が「子供を望まないし、過去にも望んだことがない」と答えた。
望まない理由を聞いた自由記述欄の中には、「どれだけ努力しても、きちんとした子供に育つか分からず、リスクが大きいから」「現在の日本では、子供は持ったもの負けの印象が強い」といった回答もあった。子供を持つことの不安と同時に、子供を持つ人への厳しい視線が、今の日本社会には混在しているようだ

バブル期は景気が良かったし、世相は明るく、将来に対して「どうにでもなるだろう」といった楽観があった (狂ってもいたが)。
だが今の20代30代の若い方々は、生まれてこのかた景気が良かった時期などないし、世相は暗く所得は上がらず、東日本大震災という椿事もあったし、将来の不安は大きく日本に未来がないと悲観しても不思議はないと思う。
中高年世代の一人として、申し訳ない。
ただ、リスクとか勝ち負けとかの計算ばかりが人生ではないと思いますよ。
子供が親を育ててくれます。子供が人生を豊かにしてくれます。

最新記事=猿島の洪積台地 (2023年09月30日)
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