三遠南信自動車道の一部、高規格道路として国道474号の水窪佐久間道路が事業中。
国交省中部地整浜松河川国道事務所 の公開情報からトレース
精密正確なトレースではないけれども、北条峠 (ほうじとうげ) と二本杉峠を結ぶ中央構造線の内側、領家帯にルートを選んである。間もなく貫通する トンネルの掘削成功が範を垂れたものと考えてよいのだろうか、断層の西側を同様に選んだということは。地すべり移動体も避けることができるし。
9のトンネルと10の橋梁により構成されるようだ。2015年1月に落橋し下流に新設された国道473号の原田橋に並行して仮称10号橋を架ける設計になっている。
地質図を合わせ見ると、ルート北の水窪側はマイロナイト、南の佐久間側は花崗岩質みたい。
「飯田線の前身、三信鉄道」で書いたように、水窪の起点付近は翁川の侵食と沖積層の堆積のため破砕帯を見ることはできないらしい。
すでに昨年から中心杭が打たれているようだ。タイミングがよければ打設された中心杭が各地でストリートビューに写るものだが、この水窪佐久間道路は大部分 (約80%) がトンネルなので中心杭は起点と終点付近の僅かなものだろうと思う。
過去に書いた記事を読み返すと、青崩峠トンネルは2014年3月に起工式がおこなわれているので現在9年目。水窪佐久間道路も同じくらいの歳月を要するだろうか。
「天然記念物: ホウジ峠の中央構造線」(佐藤興平、地質ニュース484号、1994年12月、PDF) によると「領家帯は土地が瘦せていて松しか育たない代わりに松茸がとれる、三波川帯はスギがよく育ち町の林業には重要とのこと」とある。
しずおか文化財ナビ も参照を (こちらではケルンコルとケルンバットという用語になっている)
三信鉄道や佐久間ダムができる遥か前、明治41年測図の陸地測量部5万図 水窪 Stanford Digital Repository から一部
この時代「ほうじとうげ」の注記は傍示峠となっていて、城西村と佐久間村の境界にもなっている。領家方と地頭方の境。岡山県と島根県にも傍示峠がある。浮世絵でも東海道の傍示杭が描かれているそうだ。領家と地頭の地名も全国各地にある。
ところで飯田国道事務所の「青崩峠道路トンネル調査坑工事における施工について」(PDF, 2017) に掲載されている縦断図では
県境を頂点とした拝み勾配とはなっておらず、静岡県側の地下水は一部が長野県側へ傾斜する構造になっている。この点についても静岡県知事はリニアと同様に嫌味を言ったのかしらねぇ?
青崩峠トンネルの静岡側坑口は標高 682 m、長野側坑口は標高 591 m となっている。
建設中の主要な道路は「道の駅、SA、PAと高速道路マップ」に収納している。
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かつては120もの銘柄のチリワインを呑んで全てを記事にしたが、のちに消した。
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Pamela Fox 女史がいた頃の API は楽しかったが Google Maps もゴッソリ消した。
三遠南信自動車道が全線開通したら、この記事も消すだろう。
地図は一般への普遍性が高くトリビアや雑学に収斂しやすいので、ネタに困ることはない。しかも私は何ら組織や団体に属していないのでシガラミもないし、専門家でもないので気楽に書き殴る。もし Stakeholder だったら何も書けないと思う。