愛知県、岐阜県と長野県にまたがる一級水系矢作川および愛知県東南端を流れる豊川水系の分水界をざっくりトレースした
矢作川の水系、国土交通省 によると幹川の流路延長は 118 km、流域面積は約 1,830 km²。北側は木曽川の、東側は天竜川の水系に接する。河口より 7 km 付近までは塩水が遡上するとのこと。
豊川の水系、同じく 国土交通省 によると幹川の流路延長は 77 km、流域面積は約 724 km²。「とよかわ」ではなく「とよがわ」だそう
矢作川にある明治用水頭首工で大規模な漏水事故が発生したのは2022年5月。老朽化だけでなく水理や摂理にも原因があったのだろうか。
日本地下水学会の『日本の地下水』(1986) によると、岡崎平野では井戸による揚水量がとくに工業用と水道用で多く「地下水位の低下は平野全体に広がっている」とある。地盤沈下も座視できない、とあった。地下水位はいまだ復元には至ってないのかもしれない。
西尾市には自然災害伝承碑がたくさん。これは西尾市がしっかり洗い出しをしているということであり、模範的ともいえる。未だ地理院に情報を申請していない自治体は多いが、防災に対する温度差とも言えるのではなかろうか。たとえば石川県では輪島市、能美市、白山市の3市7件しか碑が登録されていない。もっとあるはずだと思うが (2024年1月現在、全国で 2,081 件)。
豊川河口から約 70 km 上流に、令和16年度の完成を目指して設楽ダムの建設が進められている。129 m の堤高は国内 26 位に相当、埼玉は神流川にある下久保ダムと同じ高さ。
現在の設楽町は矢作川と豊川と天竜川の3つの水系にまたがっていて町役場はタイヘンじゃないのかと要らぬ心配をした。その分水界をうがつ堤石隧道は 536 m 余を手掘りで昭和9年竣工となっている。
古い伊那街道の伊世賀美隧道は明治30年竣工の総花崗石造りで国の登録文化財。矢作川流域の地質は領家帯の花崗岩が圧倒的に優勢。
矢作川の源流域である長野県平谷村は人口366人、根羽村は802人 (令和5年12月1日現在) で、平谷村は長野県で最も人口の少ない村。若い人が出ていく先は飯田だろうか、中京圏だろうか?
トヨタテクニカルセンター下山が大規模に造成中。今だけ地形図がブランクになっている。いまやトヨタがクシャミをしたら愛知県が風邪をひくレベルかな?
作手高原は隆起準平原とのことで長ノ山湿原は泥炭湿原らしい。谷中分水界になっていて線引きがむずかしい。
日本の地形千景 によると、このあたりは排水が悪いため泥炭が堆積する中間湿原が至るところに存在していたそうで、開拓入植が始まると湿地は次々に土地改良が進められ水田に変わっていったとのこと。
明治23年測図昭和2年鉄道補入陸地測量部5万図「御油」から一部、Stanford Digital Repository
猪口にたぷたぷ注がれた酒がこぼれそうな地形だ (呑み助ならではの表現力)
長久手市から南は開発が凄すぎてトレースする気が失せた。
この両水系を抱き合わせにして取り上げたのは、この地域が私の雑学の盲点というか空白域となっていて知らないから。興味や関心が薄いからといって放っておくと何時までも知らないままなので、やった。
以下も参照を
分水界シリーズはコードがテンプレになって使い回しているので楽だ。右クリックでページのソースを見てもらえると分かるが、たいていマップの javascript コードのほうが文章よりも遥かに分量は多く時間を食う。
文章はオマケみたいなもので、酒を吞んで頭が冴えアイデアが浮かんで書き殴ることはザラにあるが、何日か寝かせ草稿を読み直すと自分でも何を書いてんだか意味不明、ということもザラにある。