蕎麦は湿潤に弱く、山間地や冷涼な気候の地域で生産されるケースが多い。タネをまいて収穫までの期間が他の穀物に比べ非常に短く、しかも火山灰地など痩せた土地でも良く育つ。
都道府県別の収穫量を地図に示す。農林水産省作況調査 から令和4年産そば (乾燥子実) 収穫量のデータを用いた。全国生産量は 40,000 トン、最多は北海道、次いで長野県。やはり東日本が優勢。大阪府だけデータが公表されていないが微少だと思われる
一方で小麦は全国収穫量 993,500 トン、同じく令和4年産麦類 (子実用) の収穫量データを用いた。収穫量最多はダントツで北海道、次いで福岡県となっている。
小麦もまた湿潤に弱いといわれる。出穂の時期に雨が少ない気候が適しているが日本では収獲期がちょうど梅雨の時期にあたるため収穫量が不安定になりやすいのだそうだ。よって梅雨のない北海道が最も作付面積が広く収穫量も多い。
ところが九州北部や東海地方などの湿潤な地域の収穫量が多くなっているのは、品種改良が進んだ結果なのだろうか。水稲からの転作も多いのかもしれない。むかし社会科で習った統計の記憶と乖離がある (私が農産の情報をアップデートできていないだけだろうが)。
北海道はコメ収穫量でも全国2位。苫小牧港の内貿コンテナ取扱量が多いのも分かる (日本のコンテナ港ランキング)
大阪府は粉モノの本場のような気がするが、小麦の収穫量もわずか 1 トンで最下位。ただ、現代の物流と需給を捉える場合に、統計の多寡というものは当然ながら是非に直結するものではない。消費型都市の大阪らしさ、と言うべきか。
現代はパンやパスタがよく食べられるが、そもそも今は蕎麦も小麦も輸入に大きく依存している。(小麦の自給率: 農林水産省)
世界のどこかでドンパチと諍いが起きたら、たとえば銅の国際価格が上がってチリのような生産国は経済が潤うのが常だ。
ウクライナの小麦輸出がままならない状況にあると、他の小麦生産国が潤うのもまた確か。
だから自国で食糧の収穫があるというのは、重要なことだと思う。
小麦粉は、蛋白質が多いものから順に強力粉、中力粉、薄力粉になる。強力粉は練って作るパンなどに、薄力粉はケーキや菓子などに向いているが、うどんには一般に蛋白質量 8~10 %の中力粉が使われる
産地がどこであれ私はありがたくいただくけれども、ついつい国産を選んでしまう。
そばが優勢な地域があれば、うどんが優勢な地域もあるだろう。そばを好む讃岐の人もいるだろうし、うどんを好む信濃の人もいるだろうとも思う。
私は福岡県人なので元々そばにはあまり縁がなかった気がする。だが大学生の時に開田村 (現在の長野県木曽町の北西部) で食べたざるそばが衝撃的な美味しさで、以来そばが好物になった。五割か八割かなどのこだわりはない。なお福岡はラーメンだけでなく、うどんも美味しい (関東に比べ麺は細く、つゆは醤油が控えめ、ネギは深谷のような太いものではなく青葱が多いと思う)。⇐主観です
そばにしてもうどんにしても、麺の質や割下の味加減、盛り付けなど各地の風土に合った地域差と個性があるのは良いことだ。
全国で画一化したら、つまらない。⇐味覚というのはすべからく主観ですから