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新東名高速道路の高松トンネル、寄、震生湖

公開日: 2022年3月21日

神奈川県の西部を徘徊

新東名高速道路の工事現場

左端の下り線が大きいのは橋桁が坑内に突っ込むためらしい。右端は先進導坑か。足元に中津川と断層がある。

高松トンネル

NEXCO 中日本は2021年12月16日に ニュースリリース で新東名高速道路の新秦野IC~新御殿場ICの2023年度の開通は困難な状況にあると発表していた。工事が難航しているとのこと。
具体的には、高松トンネル上り線(L= 2,851 m)東側坑口から で緑色凝灰岩が水に触れると浸水崩壊・膨張する性質が強く切羽が崩落するなど、さらに で大量の湧水が発生し支保工背面に空洞が多数発生するなど。

県道710号から俯瞰したら

高松トンネル東側坑口

陸地測量部大正10年測図昭和4年修正「秦野」Stanford Digital Repository から。
高松トンネル東側坑口は、結構おっかないところを穿っている

大正10年測図昭和4年修正「秦野」一部

たとえ開通が遅れても、どうぞご安全に。

※2022年12月16日追記、NEXCO中日本は新秦野IC~新御殿場IC間の開通が2027年度にずれ込むと発表した。

※2024年3月「山北の橋梁やダムや天然記念物など」を書きました。

寄(やどりき)

一見すると桃源郷の趣がある松田町の寄地区。中津川に架かる田代橋から上流(北)を望む。鍋割山の頂は雲隠れ

松田町寄の中津川

『歴史的大規模土砂災害地点を歩く』コラム39 関東大震災(1923)による丹沢山地の土砂災害 によると、1923(大正12)年9月1日の関東地震により、神奈川で最も酷い崩壊面積率を示したのが寄沢(中津川の最上流部、鍋割山の南面源流地域)の 48.0 % とのこと。
河床も堤防もずいぶん人の手が入っている。滑走部の砂礫が相対的に大きく、土砂の供給量の多さが想像しやすい。
堰堤は石組みや工法がまちまちで、時代を経たパッチワーク的な構成になっているあんばい。
丹沢は植生が衰え荒廃が進んでいる気がする。保水力やジーンプールの減衰は怖いと思う。

震生湖

秦野市の南部、中井町との境に震生湖がある。これも関東地震による崩壊で市木沢の上流部が堰き止められたもの

震生湖の説明板

流入する沢はなく、また流出部もないらしい。釣り師は散見された

震生湖

同じく古地図「秦野」で見ると、左岸(北側)が毀れ閉塞したことが分かる

大正10年測図昭和4年修正「秦野」一部

寺田寅彦の句碑が湖畔にある。山さけて 成しける池や 水すまし

寺田寅彦の句碑

『歴史的大規模土砂災害地点を歩く』にも記されている露頭が、近くにあった。
下から三浦パミス層、東京軽石層および軽石流堆積物らしいが、私にはよく分からない。立ち入ることは控えた

露頭

震生湖のすぐ南側を国道246号のバイパスである厚木秦野道路が計画されている(地図中の線は都市計画図をトレースした)。この道路はすでに一部で事業化されているが、震生湖付近はトンネルではなく明かりで設計されるようだ。いろいろ露頭するのだろうが、私みたいなシロウトが見たとしても「豆腐?」くらいの感想しか出ないのが残念だ。