球磨川水系の分水界と川辺川ダムの集水域

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published: 2022-03-11, updated: 2022-08-08 by Campo Salado

明治34年測図昭和7年部分修正参謀本部5万図「日奈久」Stanford Digital Repository から。
八代海に注ぐ球磨川、日奈久断層を過ぎ河口付近は干潟が形成。

八代市、球磨川河口付近

球磨川は最上川、富士川とともに日本三大急流のひとつ。流域面積は 1,880 km²。
たびたび災害に襲われているが、支川の川辺川で建設省が治水目的として川辺川ダムの計画を発表したのが1966(昭和41)年、その後長らく反対運動が続いた。私が子供のころからたびたび報道で見てきた記憶がある。
熊本県知事が川辺川ダム計画の反対を表明したのが2008(平成20)年。翌2009年に民主党政権下で事業中止が決定。
2020(令和2)年7月、豪雨により老人ホームが水没し入所者14名が死亡するなど大きな被害があった。これは「人吉の球磨川で起きた氾濫」(2020年7月5日)に書いたが、その主な被害個所を再掲し、分水界の線をざっくり引いた。水色はアメダス、黄色はダム。

ポリゴンで塗りつぶしたのは、POI 川辺川ダム の集水域。500 km² 近くありそうだ。
JR肥薩線は復旧の見込みがたたず廃線になる可能性がある。たらればは意味がないが、もしダムがあればいくつかの氾濫や落橋は防ぐことができたかもしれないと想像してしまう。

カヌーの大会が行われるくらいに、人吉盆地では河床勾配が緩慢。急流というのは、この盆地を出てから。
この盆地に流れ込む水量を低減させるという意味でダム計画は理にかなっていた、というのは誰にでも分かる。しかし熊本の民意はダムを選択しなかった、生命や財産に及ぶリスクと共存することを選んだ末に人命や交通インフラなどを失った。

結局、国交省と熊本県は穴あきの流水型で ダムを建設する方向で進めているようだ。引堤による河道拡幅、放水路の建設、堤防の嵩上げなどの施策だけで実効性があるとは思えないので、現実的な判断に傾いたものと思う。
地理院タイルからいったん消えた「ダム建設予定地」の注記も、いずれまた書き加えられるだろう。

もし私が人吉市民だったら、熊本県民だったら、こういうコタツ記事は書けない。なんのシガラミもない余所者だから書いた。

余談。
南米チリに住んだとき、日本人の先輩移住者たちから「チリ人を決して信用するな」と言われたことがあった。
国際政治などでも「ロシアは信用できない」などといった言説を聞くことがある。
大きな主語で「米国人は...」とか「日本人って...」などという発言があれば、身構えてしまう。
そう言う人は少なくないのだが、軽率に過ぎると思う。一般論化してはならない種類のものだ。

NHK から

NHK報道

わからんでもないが、横浜市内には無辜の善良なロシア人も多数居住しているはずだから、そこも思慮すべきではないのか?

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