鉄道のトンネルで国内最古のものは明治3年10月に着工された石屋川隧道(神戸の天井川)であったことは知られている。
いっぽう道路トンネルでは、耶馬渓にある青の洞門が最古ではないか、という説が一般的。
古い雑誌『道路の改良』第18巻5号(1936(昭和11)年5月)に「本邦に於ける道路隧道に就て」(遠藤貞一)がある(URL が非 HTTPS なのでリンクしない)。
戦前のこの時点のデータがまとめられ、日本国内には1,710の道路トンネルが集計されている(現在は10,000を超える)。うち国道の100m以上のトンネルが羅列されているので、これらをマップにプロットする。
当時、国内最長の道路トンネルは だった(現在は崩落)。
また特に費用がかさんだものとして が、断面の大きさで
が挙げられている。
ほかに当時の地方所管の著名なトンネルとして と
が挙げられている。
なおリストには関ヶ原付近と思われる「長久寺隧道」が「國道八号、坂田郡柏原村地内、延長 110 m、有効幅員 6.36 m」と記されているが、正確な場所が分からない。寝物語あたりだと思われるが誤記かもしれない。
『土木学会誌』第17巻第7号(1933(昭和8)年7月)には、彙報「我國に於ける道路隧道」もある。こちらに掲げられたトンネルを青色の CircleMarker でプロットした。
昔は鉄道が圧倒的に優勢だったので、明治大正期の道路隧道は多くない。雄鹿戸隧道などは、予算も日数もないためボーリング調査も行わず施工したらしい。鉄道や海運水運といった伝統的運輸インフラに比べ、モータリゼーションは歴史が浅く優先順位が低かったのだろう。その意味で長野県青木峠の明通トンネルなど、地方が嚆矢となったのかもしれない。
上に掲げた並みいる歴史的トンネルは、すでに廃道となっているもの、改修されたもの、国道から県道や市道に移管されたものなどさまざま。とくに廃れて危険なもの、立ち入りが禁じられているものは、訪れたりしないでください。
※2024年2月「本邦道路隧道輯覧を一覧表示するマップ」も書きました。
読書は(おおむね)良いものだが、読むと悪影響を受ける場合もある。
取捨選択(の目)が大切だと私は考えている。かつて実業家の人から「雑念が入るからあまり読書しない」と言われ、なるほどと感心したことがある。むやみに、やたらに手当たり次第、というのはダメだ。テレビや映画を見る場合も同じ。
うちには何百冊の書籍があるか分からないが、捨てずに取っておきたいと思える本は『百年の孤独』や『月と六ペンス』くらいだ。