明治42年測図昭和8年修正5万分の1地形図「大野」Stanford Digital Repository から、福井県池田町の山間部。
美濃俣集落は明治41年には32戸229人だったとのことだが、地すべりと大雨災害のため離村消滅している。
「福井県美濃俣地区大地すべり踏査報告」(阪井一雄・中島信之)によると、明治24(1891)年10月の濃尾大地震で大きな地割れができていたとの住民の話があり、地すべりは昭和34(1959)年4月23日に発生したものとされる。また「地形図に現れる福井の地域環境 8. 自然災害による地域環境の変化」(服部勇)では次のように説明される。
4月時点では,下流にある美濃俣集落は直接的な被害を受けなかった.同年8月には台風による豪雨があり,8月12日に167mm,8月13日に184mm降雨があった.この大雨により,4月の地辷りで発生した土砂が土石流となり美濃俣集落の住宅や水田を襲った
国土地理院の74~78年航空画像には痕跡が写っている。砂防工事も猛烈。オマケに赤ペンまで。
南側は、かろうじて滑りをこらえた感じに見える。北隣の古い地すべりはもっと大きかったのだろう。
オレンジで示した線は福井県内の温見断層を凡そトレースしたもの。尾根を隔てた東隣の巣原集落は、下流の集落の離村により孤立したため、やはり廃村となったとのこと。
Google Maps の航空写真で見ると、地すべり跡は現在は緑に覆われており、集水井工が少なくとも3つ確認できる(関係ないが、かつて頻繁に更新されていた Google Maps の航空写真は、一昨年から明らかに更新頻度が鈍っている)。
福井県内では や中部縦貫自動車道 の建設が進んでいる。
冠山第2号トンネルは貫通まで残り 500m を切ったとのこと。開通したら酷道157号より安全かな? 冠山断層を明かりで抜けるかな?
また福井河川国道事務所の昨秋のツイート
おそらく九頭竜川が大野盆地に出てくるあたり、おおむかし小荒島岳北面で起こった大規模崩壊の痕跡なのだろう(「巨大な土石流が生成した台地(大野市)」参照)。
いろんな意味で、福井は興味深い面白そうなものがたくさんある。そのうち行ってみよう。