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DEM1Aで見る八坂と佐野坂、火山の音

公開日: 2025年4月27日

国土地理院の 1 m メッシュ (標高、DEM1A) から大町市八坂の盛大な地すべり地形。メッシュコード 543757 - 80、81、82 および 543757 - 90、91、92 を使った

この南東側、池田町にかけて今月18日以降に大小の地震が群発。24日までの気象庁による震央分布 (M≧1) も示した。
このオーバーレイの東寄り、旧八坂村役場付近を小谷 – 中山断層が南北に縦貫。鉱泉が散在するのはそのためだろうか?
中央の唐花見だけでなく北側の切久保、南側の相川も地すべり地形。これら地すべりは約30~40万年前から12万年前の間に発生したとの論考がある (植木, 2001)。大昔の地震が誘発したのかもしれない、とか思った。
若いころ鷹狩山のダートをホンダXLXで上がったことがあるが、今は舗装され立派な展望台もあるらしい。

さらに北北西、大町市と白馬村の境界付近にもオーバーレイを重ねた。メッシュコード 543776 - 35、36、37、38 および 543776 - 45、46、47、48 を使った。スキー場など若干の人工改変はある。
大崩落で佐野坂丘陵ができて姫川を堰き止め青木湖を生んだのも、大昔の地震が原因だった可能性はあるだろうか?
丘陵の中央を神城断層が南北に縦貫している。こちらについては 大町山岳博物館 が詳しく、野良の学習者としてはありがたい。
佐野坂丘陵は姶良Tn火山灰に覆われているということで約2万9千年前よりは古いらしい (多ほか, 2000八木・井口, 2015 など)。
ここは姫川水系と信濃川水系の分水嶺なので国道148号やJR大糸線の最高地点でもあり、これより白馬側はとたんに雪が多くなる。

いずれも XML から PNG に書き出されたものだが、地形を微細に充分に説明していると思う。
八坂の大峰も仁科山地も東へ崩れたというのは理由のあることなのかなぁ? 回転隆起の影響もあるのかな?
最近の地震が原因とされる真那板山 (1502 ?) や岩戸山 (1714) などは西へ崩れているけれど。

稗田山崩れ (1911) の原因は地震じゃないが、それはそれで怖い話。
雨が降らなくても地震がなくてもズルズルすべっているのは怖い話。
真那板山の滑落崖最上部が今なお小さく崩落しているのも怖い話。

私は美麻村新行から中綱、黒沢を経て鹿島の谷を下るのをツーリングのルーティンとしていた (この地域には個人的な思い入れが強い)。

次は2014年12月14日に撮影録音されたというビジャリカ火山 (Villarrica) の山頂。
死角となっているところで泡を噴いている音なのか、化学反応の音なのか、熱膨張により岩盤が歪む音なのか、いわゆる山鳴りの一種なのか、ちっとも分からないが、火口が漏斗状なのでよく反響している

「Estamos escuchando... sí, los sonidos」(聞いてるんだ…そう、音を) と言っているが、ちょっと心臓によくない。
そして、この後3か月も経たず2015年3月3日に噴火した。音も前兆のうちというのは、あながち間違いではないのだろう。
あたかも火山に意思があるかのようにプリミティブなとらえかたをした昔の人の気持ちも分からんでもない。
自然の異変を感知できるヒトのセンサーといえば視覚と聴覚、そして嗅覚くらいだろうか。
なおSの音を飲み込みがちなスペイン語の発音はチリの人の特徴。

さらに次は1900年以降のチリの火山噴火まとめ、これも政府機関 Sernageomin から

チリにおける20世紀最大の噴火は1932年の Quizapu だと言っている (プリニー式で降灰がウルグアイ、ブラジル南部まで及んだ件)。
赤外線カメラ、ガス測定、歪計などのほか「マイク」も使い監視しているとも言っている。超低周波の音響センサーのことかな?
この動画では触れていないが「スーパー火山」と形容されるコンプレックス Laguna del Maule も控えているというのも怖い話。

机上の伝聞で知っているという「知識」と、目・耳・鼻を通し経験的に知っているという「知識」では、雲泥の差がある。
残念ながら私は Villarrica に登ったことはない。
NZの Taupō では火山だと知らずマックを喰った記憶だけある (ときに無知は怖いもの知らずとなる)。