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三角測量の原点、相模野基線

公開: 2014年07月12日, 更新: 2023年04月11日 by ちずぞう

現在、日本国内には109,423もの三角点が設置されているとのこと。
相模野基線は、日本の三角測量の基点となる直線で、北端が高座郡下溝村(現在は相模原市南区麻溝台4丁目)の「下溝村三角点」、南端を高座郡座間入谷村(現在は座間市ひばりが丘1丁目)の「座間村三角点」とする直線。明治15年(1882年)に設置され、測量の結果、基線の全長が5209.9697メートルと算出された。
この相模野基線を基点として、日本全国の三角点網が作られることになった。
三角測量初期要領の概念を示してみる。

  1. 相模野基線(赤色)を底辺に、鳶尾山と長津田村の位置を計算 
  2. 鳶尾山と長津田村を結ぶ線(緑色)を底辺に連光寺村と浅間山の位置計算 
  3. 連光寺村と浅間山を結ぶ線(橙色)を底辺に丹沢山と鹿野山の位置を計算 
  4. 丹沢山と鹿野山を結ぶ線(紫色)を底辺に日本経緯度原点の位置を計算 

日本経緯度原点の経緯度は天文測量によりすでに確定していたので、これにより丹沢山・鹿野山の経緯度も確定できるということだ。
sin、cos、tan の三角関数の連続だが、古代から存在していたというこの手法、人間の智恵とはすごいものだ。
上記の三角点群は、近代日本の地理情報の礎として記念碑的なものといえようか。

原点方位角は、測量法施行令第2条第1項第2号に、日本経緯度原点から「真北を基準として右回りに測定した茨城県つくば市北郷1番地内つくば超長基線電波干渉計観測点金属標の十字の交点の方位角」と定められる(黒の線)。値は、32度20分46秒209。

一等三角点「長津田村」の写真(現在は横浜市緑区、2009年7月撮影)

Takaosama(nagatsuta)
Sankakuten(nagatsuta)

しかし、今後は衛星を用いた GPS による高度な測量へ移行していくのは疑いがない。
将来、三角点は、過去のアナログ的伝統技術の墓標となり果てるのかもしれない。

全国の測量基準点一覧地図はこちら ※2016.8 各三角点探訪「最古の三角点

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