シラスと法面の勾配のこと

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published: 2022-05-15, updated: 2022-05-22 by Campo Salado

『土木學會誌』第57巻第6号(1972(昭和47)年5月)に「シラス地帯における九州縦貫自動車道の設計施工」(山内、持永、河村)があった。

シラスの切土のり面を直立(正確には 80°程度,勾配約 1 : 0.2)させることが,島津藩時代からの一種の伝統的工法になっていた

これはまったく知らなかったので目からウロコが落ちた。一般に斜面には「安息角」という概念があるが、これを覆された気がした。

土木學會誌より

いわゆる「切通」のような直立に近い法面は、圧迫感や恐怖感が強い。
素人なので角度が緩ければ緩いほど安全なのではないか? と思ってしまうのだが

昭和40年に竣工した隼人町西光寺の砂防工事の現状は,切土のり面工法について,いくつもの教訓をあたえる。約 100 m の高さの直立のり面の部分は、のり尻付近においてかなり崩落が起きている。また,この地区のローム層の厚さが厚いため,10 m 程度の高さの直立のり面部分では,その部分の崩落とそれに伴ってその下部のシラスの崩壊が起きている。しかし,この砂防工事では,もっぱら本文でいう折衷のり面が採用されていて緩のり面の工法は取り入れてない。いっぽう,国鉄の沿線で数十年にわたって直立のり面が十分保持されているものが多いことも見逃せない経験的事実である

半世紀前のシラス地域、土木設計上の最適解を得るための苦労がうかがえる。
その隼人町西光寺の現場ではいま、国道504号のバイパス建設が進められている。

当時の道路公団は鹿児島市吉田でシラス法面の侵食試験をおこなったとある。このあたり だろうか。
本文で各工法の長短が表で比較されている。ひとえにシラスといえど硬いもの柔らかいものなど、いろいろあるらしい。

シラス層の上位には,一般に黒ボクあるいは赤ボクとよばれる火山灰質のロームが堆積しているのが普通である。このロームおよびそれに接しているある深さのシラスの風化部分の粘性土化した部分が,雨水または浸透水により高含水状態になってすべり崩壊を起こし,それが端緒となって斜面の全面的崩壊を起こすものである。この型の崩壊は,調査結果のなかでも最も頻度が高く,切土設計にあたって最も注意を要する

崩壊もまた、粘性土化型・雨裂型・洗掘型・剥離型・人為型などと区分されている。
第54巻第11号(1969(昭和44)年11月)には「防災を中心としたシラスの問題点」(山内、木村)もあり、この地域の特異さが理解しやすい。

近年では、東九州自動車道が2002年に末吉財部IC~国分IC間が、2010年に曽於弥五郎IC~末吉財部IC間が開通している。地図と航空写真を見る限りでは、直立のような急勾配の法面は見当たらない。おそらく災害や崩落を防ぐ設計施工の技術水準は飛躍的に進化しているのだろう。

急な法面といえば、関東では東名高速の鮎沢の左ルート下りに直高 75 m という長大な切り取りがある(第55巻第10号(1970(昭和45)年10月)「東名高速道路鮎沢工区における岩質調査-特に高切取部について-」(四本ほか)で詳らかに報告されている)。こちらは岩盤地域であり、より汎用的というか各地で応用できそうな話だと思う。

余談、顔の崩落について。

ヒトの頭蓋には隙間というか「泉門」があることを赤ちゃんが生まれて初めて知ることになる。
かたや老いた親は小さくなっていく。

数年前、パソコンに向かっていたら頬の一部がスッとわずかに下がったことに気づいたことがある。
いま思えば加齢現象の一部だったのだろうと思う。

人間の頭蓋は加齢とともに縮小し、それが顔の緩みや弛みを引き起こすらしい。
実際に中高年の人の中に、涙袋が大きくなったり頬が垂れたりした人をよく見る。
私もずいぶん顔が変わった。元々は目が大きいほうだったのだが、まぶたが重くなってきた。耳のメガネが掛かる部分に小さな皺がついた。全体的に筋肉や皮下脂肪が下へ垂れ人相も変わった。ほうれい線もガリーのごとく刻まれた。
前だけでなく、おそらく後ろもそうだ。このところ後頭部から襟足にかけて痒みがあり、汗腺を圧迫しているのかも知れない。
女性はおおむね長髪なので分かりにくいが、短髪の中高年男性の襟足がやけに皮下脂肪が厚めで横方向に皺が寄っているのを見ることがある。これも下垂と弛みの結果なのではなかろうか。頸椎が短くなる影響もあるだろうか。

医学の知識はないが自己観察の末にそういうことを思った。厚いツラの皮が下がるのはなんとも不愉快だ。
しかしアンチエイジングなどというものに興味はないし、施工するつもりもないので崩落やむなし。

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