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東京都水道局の小河内貨物線

公開日: 2020年12月13日

奥多摩湖(小河内貯水池)は、いわずもがな東京都民の重要な水瓶。
『土木學會誌』昭和33年12月号「小河内ダム工事報告」(佐藤志郎・当時東京都水道局長)によると、そもそもダムサイトを選定するにあたり1.8億~2億m³の源水貯溜を必要として9地点(丹波山、川野、麦山、河内、水根、中山、梅久保、梅沢、古里)が候補に挙がっていたという。
これらを体積、貯水量、地質や地方的・経済的事情など鑑み、最終的に水根に決定された。そして「地震に対しても安心感がもてる直線重力式とした」という(出典=土木学会)。

ダム建設のはるか前、陸地測量部明治40年測図昭和4年要部修正5万分の1地形図「五日市」の一部

陸地測量部明治40年測図昭和4年要部修正5万分の1地形図「五日市」

このダム建設のために敷設された東京都水道局小河内貨物線は、1952年(昭和27年)に開通し、1957年(昭和32年)まで運行。わずか5年あまりの建設用資材輸送用。ダム竣工後は西武鉄道へ、さらに奥多摩工業へ譲渡され、現在は「水根貨物線」として遺構が残っている。

水根貨物線のルート

POI から POI までの6.7km。

POI POI などは付近の道から見ることがきる。クマさんが棲息しているので、私は廃線の探索などしない。

小河内ダム付近平面図
本ダムは総コンクリート量1,675,680m³の全粗骨材と細骨材の約半分に当る合計約3,130,000トンの骨材を現地で砕石生産した

それ以外は貨物線が資材輸送に重要な役割を果たしたということになる。
当該報告は土木工学、地質学など専門的な説明が続くが、ここでは割愛。