ウェブのマップはメルカトルプロジェクションなので、緯度によって見え方が変わってくる。緯度が高くなればなるほど大きく見え、同じズームレベルでもスケールが違うし、極地は冗長に巨大になる。
これまで何度か書いてきたが、定期的に書く。
次に北海道と沖縄を表示し、それぞれ中心に半径500mの円を描いた。
陰影起伏図
「北海道は広い」のはその通り、しかし「相対的に大きく表示されている」ということを常に念頭に置かないといけない(逆に沖縄や小笠原諸島は相対的に小さく感じることになる)。
また、たとえば と を同じズームレベルで並べ比較したりすると、いろんな気付きがあると思う(緯度の差は小さいが、それでもスケールがわずかに違う)。そういうのもまた地図のおもしろさ。
こちらも参照:Google Maps とメルカトル(2012年8月2日)
......地図を,今までのような平面的な利用にとどめておいて,よいのであろうか。さらに一歩前進し,多面的に防災事業に役立ちうるような,地図利用面の開発をはからなければならない時期がきているように考えられる。
今までも,水害の実態を示した地図,たとえば狩野川台風,伊勢湾台風の被害状況を示した地図や,地震等の火災発生状況図,さらには積雪,なだれ分布図等,災害の発生後における調査によって,災害の実態を示す地図は数多くつくられてきた。しかし,これらの多くのものが,単に災害の記録としての領域をあまり出ることができなかったことは否定できない。われわれが,これらの地図からさらに一歩前進して,積極的に災害予防対策のために,地図を利用しようと企画しはじめたのは,比較的新しいことである。
......当然のことであるが,水害の直接原因は,第一に気象条件であり,第二として考えられることは,河川,海岸等の保全施設の強度いかんであり,今までの防災計画は,主としてこの二つが,大きな要素として考えられてきたように思われる。しかし,今後は第三の問題として,水害の舞台となるその土地の成り立ちを考えなければならない。
......第三の要件となるべき土地条件に関する地図として考えられるものは,どのようなものであろうか。われわれが現在作成しているものに,土地利用図と,土地条件図というものがある。土地利用図は,読んで字のごとく,土地の利用状況を耕地,森林,都市,村落,交通,土地保全改良施設等を詳細に分類,図示したものであり,土地条件図というのは,地形の詳しい分類,地盤の詳しい高低,防災施設の分布等を図示したもので,たとえば,地形分類でいえば,山地丘陵地,台地,段丘,低地,人口地形などを,成因や災害に対する強弱を考えながら詳しく分類したものである。しかし,これらの地図を日本の主要地域全部について調査するということは,相当の人日数と経費を要するものであって,早急な完成は望めない。
......気象条件を示す気象図と河川海岸の安全度を示す堤防,護岸等の保全施設図と,土地の諸条件を示す地図とを別々に持ち合わせてはいるが,これらを関連づけるものはない。もちろん,これらをどうやって総合づけ関連づけていくか行くかという方法論については,今後の研究に待つべき所が多いであろう。いずれにしろ,災害というものが,与えられた地形,地質,土質,植生等の条件をもつ地域に,異常な降雨という外力が働いて発生する自然現象であることを考えるならば,防災計画は土地条件を離れたものであってはならない。
抜粋したこの小文は、1967(昭和42)年に当時の建設省国土地理院長だった安芸元清氏が『土木學會誌』52-12号に寄せたもの。
半世紀あまりを経て衛星写真やGIS技術が発展した今のネットの時代、土地の成り立ちや土地利用を示す地図(さらには断層図や火山の情報などなど)が国土地理院から広く一般に提供されている。ありがたいことだ。
この恩恵を享受するために、地図を正しく読み、理解する必要があるけれども、あんがい読めない(読まない)人が少なくないのだろうということは想像に難くない。
といいつつ、生命や財産にかかわることなので、当サイトでは「防災」について深入りしないようにしている。