Maps API と道路と金栗四三と

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公開日:2021-05-26 更新日:2021-07-02

WebGL を利用した機能

Maps JavaScript API ベータ版の新機能として、チルトと回転が使えるとのこと。

Google Developers Japan: Google I/O 2021 での Google Maps Platform に関する発表

かつて Maps API for Flash というのもあって、私もかなりコンパイルしたのだが、イメージとしてはソレに近い。

金栗四三と道路

土木学会附属土木図書館のデジタルアーカイブスに、1920(大正9)年11月~1944(昭和19)年7月まで発行された『道路の改良』が残されている。
その第6巻12号(大正13(1924)年12月)に、金栗四三「マラソン選手の見たる道路」がある。NHK のドラマ『いだてん』モデルの金栗氏である。

始め造る道路を思ひ切つて理想に近くするのが第一で、よしその當時は多少の負擔を受けても數十年の後になるとその負擔は十分に取りかえし得るもので、將來、子孫の爲である。
我々は現在目の前の事だけには全力を盡すが將來の計を建てる習慣が欠けて居る、之の欠點がいろいろの方面に......

約100年後の現在も、たいして変わっていない。
なお当時は、鉄道こそが最優先、道路は二の次、という時代。澁澤榮一も、第5巻1号(1923年)で「現に我邦なども此道路に於ては他の先進國に對して恥づべきことが頗る多いやうに思はれます......首府たる此東京の路面が舊來と格別面目を改めないで雨が降れば田植の出來るやうな状態になり」と書いている。
さらに金栗は、国内各地を走った経験から

新開地の道路は仲々惡い、たゞ野や丘を新に切り開いて道となしたに過ぎず、一度雨がふる、之の上を車馬や人が往來すれば泥濘膝を沒するばかりである、全く危險を感ずる

1920年アントワープ五輪のマラソン走路はほとんど石道で、関節をよく痛めたと書いてある。また1924パリ大会は9割ほどがアスファルトで、その発する臭気も、慣れぬ日本人には嗅覚を刺激しすぎる、しかし泥道や石道に比べ欠点が少ない、とある。

我國では、國道をアスフアルト道に改良することは實現は到底困難な事であらう......道路改善の爲には莫大な經費が必要である、それには各人の負擔を一時增額する事も、國家百年の大計より見てやむを得ない事で、吾人はその負擔を脊負ふ覺悟がなくてはならぬ。
殊に文明の利器たる、自動車の利用が多くなつてきた以上は現在のまゝの道路では到底満足すべきでない、殊に國の體面からしても一國の帝都たる東京市街路が雨降れば泥が流れ、風吹けば砂塵飛ぶ様では、英國の一小領地たる、ホンコンやシンガポールの道路にも及ばぬのを残念と思ふのである

時代背景が異なるのでいちがいに比較できないが、すくなくとも利己や独善などカケラもないし、ただのマラソンランナーではなく知識と思慮のある人となりがうかがえる(しかも約100年前とは思えないくらい現在に敷衍できる)。
道路は良くなった。けれど果たして五輪は、日本は良くなったのかというと、微妙なものがある。

同5巻3号(1923年)には、伊那節のおもしろい創作があった。

道路改良宣伝伊那節

「道のよくない お里の人は 文明開化にや なれはせぬ」のくだり、現代でもバリエーションが作れそうだ。
物理的な道の改良だけでなく「道路愛護」といった言葉で、マナーや道徳の啓蒙にも努めていたようだ。私が生まれた昭和40年代でも、いろいろな意味で道路は酷かった。

同7巻11号(1925年)には、下川凹天の「漫畫 品川神奈川間スケッチ道中記」があった。

下川凹天の漫画

すべからく「酷道」であったことがうかがえる。

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