フェロカリル・トラサンディノ (Ferrocarril Trasandino) はアンデス山脈を横断してチリとアルゼンチンの国境を越えた鉄道。
1910年に開業、1984年まで運行され現在は廃線となっているが、盛土や橋梁などの構造物などその痕跡を衛星画像でおおよそ確認することができる。ストリートビューでもたくさん写っている
チリ側 Los Andes と Río Blanco の間では今なお 観光ゴンドラ の運行が続いているようだ。その映像を見ると山岳鉄道の魅力というか、絵面が強烈。次はナレーションや字幕も一切なくて佳い
アルゼンチン側は廃線の遺構が多く残っている。上記のマップでは Polvaredas までトレースしたが、メンドーサ川に沿って Mendoza まで線路の跡がある。
Ferrocarril Trasandino や Archivo Nacional のサイトには過去の写真が多数掲載されている。鉄道ファンの方にはたまらないだろうと思う。
国境を越えるトンネルは標高 3,200 m ほど、その前後の勾配を克服するのは容易でなかったようで、Wikipedia によると一部アプト式で平均48パーミル、軌間は 1 m と書かれている (ボリビアのウユニとチリのカラマを結ぶ鉄道はもっと高く 3,900 m を超える。日本の鉄道最高地点は野辺山の 1,375 m)。
1978年以降に両国間の関係が緊張して鉄道の運営にも影響を及ぼし、1979年には旅客運行が廃止、貨物運行のみ存続したが1984年にチリ側で発生した雪崩により線路の一部が破壊され、そのまま廃線に至ったとのこと。
次は1972年ドイツZDFのドキュメンタリー
自動車道路はチリ側が国道60号、アルゼンチン側が7号。私は一度だけしか往復したことがないが、大動脈なのでトラックの往来がとても多かった。バスの車窓から鉄路や橋梁をとくにアルゼンチン側で見ることができた (南米最高峰アコンカグアも)。チリ側はつづら折りの難所があり、十字架だらけだったのが印象に残っている。国境の Cristo Redentor トンネルは1980年開通。それ以前の旧道の峠 (海抜 3,854 m) には、1904年に境界紛争が平和的に解決したことを記念した巨大キリスト像 Cristo Redentor de los Andes が設置されている。
次は チリ国立図書館 から
チリ側の地質図 © Sernageomin
OM2c とは、漸新世~中新世の火山堆積物シーケンス (玄武岩質からデイサイト質溶岩、砕屑岩、火砕岩) とのこと。