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野球中継のカメラと判定

公開日: 2018年4月1日

プロ野球中継など見ていると、
実況:「きわどいっ! 判定はボール!」
解説:「いや入ってないですかねぇ~、今の?」
などといったやり取りは、よくある。

昭和のむかし、メインの中継カメラはバックネット裏、捕手の真後ろだった。
いつのころからか、カメラの性能が良くなったのだろう、バックスクリーン横からの望遠映像に変わっていった。

横浜スタジアム

現在、カメラの位置は、実際には「投手の真後ろ」ではない。真後ろでは、プレーヤーの邪魔になるから、どの球場でも、ややレフト側に据えられ斜めに映像を捉えている。
角度はどのくらいなのだろう? と気になっていたので、ざっくり調べてみた。横浜スタジアムの場合、2の角度は

1はおよそのカメラ位置、3は本塁~投手板~2塁の凡そ延長(グラウンドの中心線)。各マーカーは動かせる。1をレフトポール、3をライトポールに動かせば、ほぼ90度になる(むろん航空写真は歪むので、精確に直角とはなりにくい)。
ハマスタのバックスクリーンは幅が小さい。東京ドームや甲子園では、もっと角度が出来るだろうと思われる。

・・・何が言いたいのかというと、6度あまりの角度が、見る人の印象を変える可能性があるだろう、ということ。
わずか 17 インチ(43.18 cm)幅のホームベースを、120 m あまりの距離からカメラは望遠でとらえる。球審は、本塁のすぐ後ろで投球判定している。
また同時に、右利きと左利きでは、リリースポイント(球離れ)の位置が大きく異なるということも思案しないといけない。
さらに、コースだけでなく高低もまた印象にズレが出る、ということも思案しなければならない。
東京ドームなどは、グラウンドレベルよりかなり高い客席のわきにカメラがある。この仰角のズレもまた、相当に繊細なものだと思う。

いかにも日本的な考え方では、選手も審判も「ルールに服従しなければならない」と考えてしまう。これは「はじめに法ありき」の大陸法的な思考方法だが、野球の母国であるアメリカは判例主義なので、陪審員(審判員)の Jadgement が絶対。審判が「シロ」と言えば白であり、審判が「クロ」と言えば黒になる。
だから野球では審判の裁定が絶対であって、それをとやかく言うのは筋違い。よって「誤審」はあり得ない。
コンピュータに審判させれば? という意見も最近は見かけるが、人間がやるからこそ皮膚感覚で面白いのだ、と私は思う。