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正当防衛とか、過剰防衛とか。

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ライブドアニュースによると

◎◎さんが店の中を歩いていたところ、驚くべき光景を目にしました。
「ジジイ死ねよ!!」
そう叫びながら、近くにいた女の子が、おじいさんに回し蹴りをした・・・
蹴りを食らい、その場に倒れるおじいさん。騒ぎを聞き、3人の店員が駆け付け、男性店員が女の子を床に抑え込み、女性店員はおじいさんを助け起こしたそうです。
きっと多くの人が「突然、女の子が老人に暴力をふるった」と思うであろう、この状況。
しかし、近くにいた◎◎さんはすべて見ていた・・・おじいさんが、女の子のお尻を触っていたところを

この件について Twitter で「過剰防衛」だの「暴力は良くない」だの「老人が死んだらどうするんだ」だのと被害者の女子高校生に対して批判する人々がいるという。
うちの大学生の娘は憤っていた、なぜ痴漢の側が擁護されるのかと。

その事件を自分の目で見たわけでないし、正確な状況を把握することも不可能なのだが、たまにはマジメに考えてみる。

日常生活で誰にでも起こる可能性がある「正当防衛」や「過剰防衛」とは、刑法に規定がある。
われわれ一般市民に限らず、警察官や自衛官といった公僕の人々にとっても「武器の使用」にあたって極めて重要な条文。

   第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
 (正当行為)
第三十五条 法令又は正当な業務による行為は、罰しない。
 (正当防衛)
第三十六条 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
 (緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。

「過剰防衛」は36条2項のこと。

  1. 責任減少説 過剰防衛は、急迫不正の侵害が存在する緊急な事態のもとでなされるので、恐怖・驚愕・興奮・狼狽などの精神の動揺のため「ゆきすぎ」があっても、強く非難できない場合があることを理由に責任が減少するとされる
  2. 違法性・責任減少説 少なくとも急迫不正の侵害に対する防衛的な反撃行為によって、自己または他人の利益を維持したという面において、違法性の減少を認めるべきであるとされる
  3. 違法性減少説 過剰防衛の場合、防衛の程度を超えたにしても、なお急迫不正の侵害者の法益を侵害することによって正当な者の利益が維持されたという防衛効果が生じた点に、違法性の減少を認めようとする立場

現在では2番目が支持され通説化している、とのこと。

急迫不正の侵害に対する反撃者の心理的動揺が非難可能性の程度に重大な影響を及ぼすことがある。すなわち、恐怖、驚愕などに基づいて反撃行為がなされた場合には、その分だけ責任の量が減少することになる。刑の免除まで可能となるのは、違法性および責任の減少がありうるからである。「情状により」という法文の文言は、まさにこのことを示していると見るべきなのである
(以上、「過剰防衛の法的性格について」川端縛、『法律論叢』第69巻第3・4・5合併号(1997.2))

上記の回し蹴りの件、老人だからといって情状酌量の余地はないし、「反撃で死んだら」とか「痴呆症だったなら」といったタラレバは意味が無い。高校生は防衛しなければ危険だし、さぞ恐怖だったことだろう。
もしもうちの娘が痴漢被害に遭ったならば、私も回し蹴りを薦めるだろう。