御嶽と民俗

Home » Articles » 御嶽と民俗, published: 2019-09-30 (updated: 2019-09-30)

御嶽山は、5年前の噴火のあと物理的な「火山」として報道されている。
しかし、特に南麓の王滝村は「信仰」の伝統が強い。
主に東海・関西の信者による参拝の歴史が古く、これが大きな「産業」でもある。

六根清浄 御山は快晴・・・

むかし私は大学の夏休み、王滝村松越地区で住み込みアルバイトをしたことがある。
「先達」と呼ばれるリーダーが率いる、白装束に身を包んだ登山者の列が、ひたすら続いた。
登頂したら「一般の趣味の登山者」のほうが少数派だった。
もっとも、現在ではそんな信仰の登山者も、高齢化により激減しているであろうことは想像に難くない。

木曽は、北信や中信に比べ観光資源に乏しい。
隣の伊那谷に比べ平地に乏しく狭隘で、産業も乏しい。
過疎が進み、林業は衰退、漆器は先細り、胃腸薬「百草丸」と清酒「七笑」の看板ばかり目に入る。

その火山としてのリスクは確かに高いだろう。東京から、上から目線で、規制を語るのは易い。
しかし地元には、土俗的・文化的な背景や歴史があり、それゆえの苦渋があり、事は容易でない。ソフトの側面からも慮る必要があると思う。
容姿・性格・資質・個性・環境が様々に異なる全国の火山を、科学的観点のみに因って一律の管制をしようとしたら、それは横暴だろう。