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雑感(2009.07)

(2009年7月13日)

作家の辺見庸氏が書いていた(7月8日、日経夕刊)。

 ・・・異議を唱えたり、抗ったりすることは無力だと、最初から思わされてしまう何かが今の社会にはある。僕が一番恐れるのは、そんな「無意識の荒み」ともいうべき精神の荒廃だ

無力感というのは、確かにあると思う。どうにもならん、という諦観に近いような。
易きに流れ、長いものに巻かれるほうが楽なもので。

 「無意識の荒み」を生むのは「慣れ」だ。危機に直面したとき、この国では為政者もメディアもすぐに口当たりのいい楽観論でコーティングをする。あるいは日常の延長のふりをして、すべてが円満に運んでいると思わせる。やがて、どんな災厄も日常化し、人々は慣れる。シニカルに自他を笑いながら、もはや現実を変えるために立ち上がろうとはしなくなる。それこそ社会が抱える真の病巣だ

「無意識のすさみ」を生むのは「慣れ」かもしれないけれど、自己防衛の本能が勝手にそうさせる、という側面もあるような気がする。ふつうの人々ならば、異議を唱えたり抗ったりすることを心の中で願っても、同時にそれを恐れているはずだ。

「シニカルに自他を笑いながら」の箇所がツボと思われた。メディアに限らず社会もネットも、我が身を顧みることのない批判と批評に溢れている(それでいて具体的な行動はない)。このツボは効いた。反省とすべし。