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宗教

(2003年8月12日)

★ 9月11日が近い。2001年ニューヨークでのテロ事件からまもなく2年が経とうとしています。
★ 人々の心を駆り立てる原動力となり得るものは少なくなりましたが、そのひとつが宗教で、現代のテロリストの一部は(善意であれ悪意であれ)宗教を恃みとしています。テロリズムの定義は明確ではないので、それゆえ、拡大解釈の危険を伴います。牽引力や信念体系を持たない世界では、人々を政治的目的のために動かそうとするとき、宗教は悪用され、政治目的を宗教の衣で覆います。
★ ヨーロッパでは政教分離の壁はかなり以前から低下しつつあります。宗教が暴力の手段とされるのを防止するために、国家の介入は免れません。イタリア・ミラノ大学の法学者シルヴィオ・フェラーリ博士は言っています。「宗教は、すでに『無罪の推定』を享受できない。もはや宗教は、すべての樹木が善なる果実を結ぶエデンの園に住んではいない」。
★ また宗教は、伝統的に、その秘密の法的保護を受けてきました。多くのヨーロッパ諸国の法律が、聖職者と信徒の関係の秘密性にも強力な保護を与えていましたが、聖職者を巻き込んだ児童嗜愛に関する裁判など最近のいくつかの判決によって、弱められました。これらの問題は、チリにおいても同様に取り沙汰されています。
★ 9月11日ニューヨーク・テロ事件以後、米国では、宗教が真っ先に秘密保護の対象から除外されました。もはや政治的イデオロギーではなく、宗教こそが警戒の対象となっており、特に少数派宗教が異端視されている按配です。
★ ところでわれわれ日本人は、キリスト教(カトリック)というものについて「皮膚感覚として」の理解がありません(私自身も宗教というとまだどこか偏見がある)。チリにおける教会の影響力を、まさに「肌で知る」には至りません。が、これを念頭におかないとカンチガイの元になりかねないのかもしれないですね。