地図蔵 ▷ 2012年までの記事「不健康な健康志向」

不健康な健康志向

(2003年5月 1日)

★ 5月1日、日本では「高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ」健康増進法が施行されました(すごい名前の法律だ)。
★ その第25条がお題目。「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。」
★ さっそく、首都圏の私鉄10社は駅構内全禁煙に。愛煙家への圧力がますます強まります。なんとヒステリックな法でしょう。
★ 昨今の日本人の清潔志向・健康志向はすさまじい。病的なくらい潔癖症の人が増えました。徹底して汚いもの・不潔なもの・菌・ウイルスを敵視していますが、果たしてどうかと……。そもそも人間なんて雲古・小便を垂れ、目糞鼻糞を生産するのを生理とするのですからねえ。
★ もし無菌状態で栽培された人間がいたら、外界に出たとたん卒倒するのでは? SARSのニュースが騒がしいですが、今後も似たような未知のウイルスや菌の類が続々出るでしょう。汚いもの、迷惑なもの(場合によりイヤな人)は何であれ遠ざけてしまえばそれでよい、というものではないと思います。嫌でも共存しなきゃいけないのだから、むしろ現代人は、これらのもの(場合によりイヤな人)への抵抗力を身につけるべきでは?
★ そりゃタバコの煙は迷惑でしょうけど、同じ嗜好品としては酒のほうがはるかに害が多くて他人に迷惑をかけると思います。過度の酒は心身を滅亡させるし、誰でも酔っ払いに迷惑を被ったという経験はあるでしょう。酒で人生を、あるいは家庭を破滅させたという話はよく聞きます。が、タバコが原因で女房に逃げられた、子供がグレた、なんて話は聞いた事がない。路上ゲロは罰金とか、酔って人にからんだらチョンボで罰符とか、そういう法があったら怖いではないですか。
★ 同じく米国の影響が強い南米でも分煙・禁煙の動きは強まる一方ですが、まだまだ間口が広い(ところで元愛煙家の人ほど嫌煙運動に熱心なのはなぜだろう)。万事において、人生全般において寛容であることがラテンの魅力だと私は思います。チリの喫煙率、高いですしね。私はタバコ、やめません(←ちょっとムキになっている)。